ルーティング最適化設定では、本サービス専用の「マネージド閉域ルータ」(以下拠点ルータ)間でのOSPFの利用を制御できます。
本機能は、下図のようにNURO閉域/Smart閉域の機器冗長拠点と、それぞれの単拠点が混在している環境で使用します。
機器冗長構成でない場合や、「マネージド閉域ルータ」以外のお客様でご用意されたルータを使っている場合は、この設定項目は表示されません。
本システムでは、閉域網内でのルーティング情報の交換は、クラウドゲートウェイと拠点ルータ間で、BGPを使って実現しており、拠点ルータ同士では直接BGPによる情報交換は行いません。
最適化設定を「ON」にすることで、拠点ルータ間で直接OSPFを使ったルーティング情報の交換を行うことができます。
本システムでは、OSPFは常にBGPよりも優先される設計になっています。
最適化設定によるルーティングの違い
NURO閉域/Smart閉域の冗長拠点(②)とそれぞれの単拠点(①、③)が混在している環境で、NURO閉域が優先になっている前提での最適化設定によるルーティングの違いを以下で説明します。
最適化設定「OFF」(デフォルト、BGPのみによるルーティング)時のルーティング
①NURO閉域拠点と②冗長拠点の拠点間通信は、NURO閉域網を使って直接通信します。
②冗長拠点と③Smart閉域拠点の拠点間通信の場合、冗長拠点ではNURO閉域側を優先としており、Smart閉域側はNURO閉域側の障害時のみ使用されるため、平常時は以下のようにクラウドゲートウェイを経由した通信となります。
①NURO閉域拠点と③Smart閉域拠点の拠点間通信は、NURO閉域網とSmart閉域網の橋渡しとして、クラウドゲートウェイを経由して通信します。
最適化設定「ON」(BGPとOSPFによるルーティング)時のルーティング
①NURO閉域拠点と②冗長拠点の拠点間通信は、最適化設定「OFF」時と同様にNURO閉域網を使って直接通信します。(経路図省略)
②冗長拠点と③Smart閉域拠点の拠点間通信は、Smart閉域網を使って通信します。
詳細な動作は以下のようになります。
- ②冗長拠点→③Smart閉域拠点
冗長拠点のパソコンからのパケットは、VRRPの優先になっているNURO閉域側ルータに送られます。
NURO閉域側ルータでは、宛先サブネットのルーティング情報をクラウドゲートウェイ(BGP)と同拠点のSmart閉域側ルータ(OSPF)から取得しており、OSPFが優先されるため、Smart閉域側ルータへ転送します。
冗長拠点のSmart閉域側ルータは、BGPの情報もOSPFの情報も宛先サブネットのルーティング先は、Smart閉域拠点ルータとなっているため、同ルータへパケットを転送します。 - ③Smart閉域拠点→②冗長拠点
Smart閉域拠点ルータは宛先サブネットのルーティング情報をクラウドゲートウェイ(BGP)と冗長拠点のSmart閉域側ルータ(OSPF)から取得しており、OSPFが優先されるため、Smart閉域側ルータへ転送します。
①NURO閉域拠点と③Smart閉域拠点の拠点間通信は、BGPよりもOSPFを優先するため、クラウドゲートウェイを経由せずに、橋渡しとして冗長拠点を経由します。
ルーティング最適化設定
- 最適化設定
ON:拠点ルータ間でOSPFによるルーティング情報の交換を行います。
OFF:OSPFを使用しません。(デフォルト) - 橋渡し拠点設定
NURO閉域とSmart閉域の冗長拠点が2つ以上あった時に、どの拠点を橋渡しとして優先するか、優先順位をつけることができます。
プライマリが障害等で橋渡しができなくなった場合は、セカンダリが橋渡し拠点として使われます。
プライマリ、セカンダリに続く3番目以降は同じ優先順位で動作するため、橋渡し拠点は通信の都度不特定に選ばれます。
ルーティング最適化設定をONにすることで、非優先の閉域網を有効に使って効率的にトラフィックを分散できる反面、使い方によっては橋渡し拠点に大きな負荷がかかる場合があります。
設定変更によるトラフィックの流れを把握されたうえで、拠点間のトラフィックや回線の状況をご確認の上ご利用ください。